検索:

猶予無しの強制遮断

それは突然の…「指導」でありました。
弊社のホスティングサービスをご利用頂いているお客様からメールが
使えないとの連絡を受けました。その後、同様の問い合わせが多数ありました。
弊社のサーバーやネットワークには問題無いのは確認済です。
これはただ事ではない雰囲気です。その数分後に1通のメールが
通信会社Aから届きました。
「ICPを登録していないドメインがみつかったのでIPを遮断した」と…
「遮断します」という「事前連絡」ではなく「遮断した」との
「事後連絡」です。まったくの猶予無しです。ようするに「指導」です。

10月の会議終了後に規制が緩和されるかと予想しておりましたが、
逆に規制がさらに強化されております。今までであれば事前に通達があり
期限までに手続きをすれば良かったのですが、今回は猶予が有りませんでした。
そして…今後もこのように猶予なしで遮断というリスクは続くと予想されます。

弊社スタッフは直ぐに通信会社Aへ連絡しIPの遮断を一時的に解除するよう
依頼しました。これにより数日の猶予は与えられたのですが、
いつまた遮断されるかわかりません。対策として深夜に影響を受けたお客様の
メールボックスを通信会社Bのデーターセンターへ移行しました。
このような事態は予め予想しており弊社は異なる通信会社の
データーセンターを複数利用しておりいつでも移行出来る準備はしております。

スタッフが調査したところによると政府機関がネットワークを
スキャンするプログラムを開発し中国で利用されている
ドメインのICP取得の有無をチェックしているとのことです。
それが今回、通信会社Aで実行されたらしいとのことです。
らしい…というのがポイントで、例のスゴイ壁もそうですが、
事実を確かめる手段がありません。
ドメインは中国で取得したものはもちろん国外で取得し中国で
利用しているドメインもチェックの対象です。

今後、通信会社BやCでもスキャンが実施される可能性があります。
運が良ければ事前に通達があると思いますが、通達が無い可能性がございます。
その際、中国のパブリッククラウドやホスティングサービスを
利用されている場合、突然メールが利用出来なくなっても復旧までに
時間がかかる可能性があります。
中国のパブリッククラウドやホスティングサービス…
技術的には世界に通用するどころか越えているかもしれませんが、
顧客の立場になって迅速に対応して頂けるのでしょうか?

問題が起きてからでは遅いので、不安があればご相談ください。
ICPの取得サポート、メールサーバーの移転など対応致します。
技術的なことは日本人SEが対応致します。はい。私が…


■ あとがき

この忙しい年末にすることは無いと思います…と言いたいところですが、
中国の年末は2018年2月中旬ですので…まだ何かありそうな予感です。

5年に一度の規制強化

5年に一度の重要な会議が今週から中国で開催されます。
そのため例のスゴイ壁が強化されております。
中国でITインフラの仕事を始めて18年になりますが、
今回はかなり気合が入っております。
通常の強化ではなくスゴイ強化です。

この会議のための準備会議が先週から開催されているようで
弊社は今週から規制強化されると予想しておりましたが、
既に先週から規制が強化されております。

当然、規制しますという発表はございません。
もちろん通信会社へ問い合わせても…「問題ない」で
終了となりますので色々と想像しながら対策することになります。
下記は今回の規制強化による現象の一部です。

・ほぼ毎日特定の時間帯にパケットロスが酷くなる
・一部のサーバーへ外部からアクセス出来ない
・あるホスティング会社のメールサーバーへ接続出来ない

毎度のことですが、機器の設定を変更していない…
設定に問題が無い…というのに何故か問題があるという
不思議な現象に遭遇します。
どこかに規制強化のための最新機器が導入されたのでしょうか?
設定がスゴイ複雑なのかいい加減なのかわかりませんが、
パターンがよめません。困ります。本当に…

ということで先週からずーっと監視画面の前でいつ問題が発生するか
ドキドキしながら過ごしております。

問題発生→設定とログを調査→回避策を検討・検証→対策実施
という作業を繰り返しております。
精神的にキツイです。

中国のITインフラでお困りであればご相談ください。


■ あとがき

中国ビザの申請方法や規則などが変更なり就労ビザの更新に
3週間の予定が6週間かかりましたが、なんとか更新出来たので安心です。

中国IT環境改善 – 仮想化編

仮想化…とは言っても今回はサーバーやネットワークの
仮想化ではありません。PCの仮想化です。

中国の小規模な法人であれば財務システムはスタンドアロンPCで
稼働しているかと思います。業務で使用しているPCにも重要な
データーが保存されているかと思いますが、特に財務PCには消えては
困るデーターが保存されていると思います。

財務PCには領収書を発行する政府が指定したアプリケーションなど
自社ではインストール出来ないものもあるためPCが故障すると大変です。

弊社は設立から10年以上になります。財務PCも古くなってきたので
いつ故障するか心配です。財務データが消えてしまっては仕事にも
影響が出ます。ここは何とかせねばということで思いついたのが
PCの仮想化です。

PCを仮想化…と聞くと「デスクトップ仮想化」が思いつくかと思います。
でもこれは、データーセンターに専用のストレージサーバーを導入したり
スゴイサーバーを導入したりなど本気モードの仮想化です。

今回はPCの仮想化が目的ではなく財務データを守ることです。
ということでPC仮想化のアプリケーションをインストールするタイプの
「ホストOS型」でPCを仮想化することにしました。

財務担当スタッフが普段の業務に使用しているPCも古くなったので
PCを新たに調達することにしました。ハードディスクもHDDからSSDに
したので処理速度大幅アップです。

移行作業ですが、古い財務PCにハードディスク全体を仮想化するための
アプリケーションをインストールして「イメージファイル」に変換します。
それから新しいPCに「ホストOS型」の仮想化ソフトをインストールして
古い財務PCの「イメージファイル」をコピーするだけで作業完了です。
後は新しいPCで財務PCを起動すれば今までと同じように使用出来ます。

さらに財務PCの「イメージファイル」をデータセンターにバックアップ
しておけば安心です。

中国でのIT環境改善はさらに続きます….


■ あとがき

今月から中国で車への消化器の搭載が義務化されたとのことです。
スタッフがネットで消化器を購入したのですが、そのお値段なんと数百円です。
大丈夫のでしょうか?色んな意味で…

中国のデータセンター引っ越し(後編)

前回は移転先のデータセンターを決めたところまで書きました。
今回はサービス内容の交渉と移転作業についてです。

中国は基本、個人対個人の交渉ですので、いくら契約を締結していても
意味をなさないことがあります。今回はそんな典型的な例で
移転先でも現在の契約と同等のラックや回線のサービスを利用したいと
データセンター側の担当者に言ったところ
「今の契約は知らない」ということで今回も撃沈されてしまいました。

ということで新たに契約の交渉となります。
要するに強制的に解約させられてから新規の申し込みとなります。
弊社はデータセンターを長年利用しているので、昔はかなり安かったので
新規契約となると大幅値上げとなります。さらに標準サービスだったのが
オプションサービスになっております。

毎度の事ですが、IPアドレスのサブネットを他社と共用ではなく
弊社専用にしてほしいと何度も言ったのですが、事前に連絡があった
IPアドレスは…当然他社と共用でした。当然後日、弊社専用の
サブネットにしてもらいました。

私は日本にいたので知りませんでしたが、後日聞いた話しだと
データセンター側の担当者と弊社スタッフとの話し会い(喧嘩)で、
話しの内容がまったく噛み合わず漫才をしているようで
周りのスタッフが毎日爆笑していたそうです。

そんなスタッフの努力もあり移転作業当日は
怖いくらいに順調に作業が進み無事終了しました。
現在も移転先のデータセンターで弊社の機器は安定稼働しております。

データセンター引っ越し作業完了でほっとしたのもつかの間
さらに別のデータセンターでも移転しなさいと通告が来ました。

データセンターの引っ越しなら弊社におまかせください!…って
弊社は引っ越し専門業者ではございません。
中国のITで困った…を解決する会社でございます。


■ あとがき

最近、横断歩道を渡っている時、右左折して来る車が一時停止してくれる
場合が増えており非常に困惑しております。基本、中国では歩行者より車が
優先ですので横断歩道の信号が青でも歩行者に向かって車が突進してきます。
歩行者優先は良いことですが、今どちらが優先なのかわからずキケンです。

中国のデータセンター引っ越し(前編)

弊社は中国で複数のデータセンターを利用しております。
ある日…データセンター事業者から
「データセンターを閉鎖するので移転しなさい」との通告が有りました。
「お願い」ではなく「通告」です。

18年ほど中国でITの仕事をしておりますが、中国では長期間サービスを
利用していると「改悪」されることはあっても「改善」されることは
ほぼ無いと思います。そのため今回の引っ越しで、何かが今より
「改善」されることはありません。むしろ確実に「改悪」されること
間違いなしです。そのためいかに現在利用しているサービスと
同等のサービスを移転先のデータセンターで受けることが
出来るかがポイントになります。

まずは移転先候補のデータセンターを見学します。
相変わらず酷いです。こんなところにあるのという場所にあります。
しかも建屋に近づいてもデータセンターということに気が付かずに
スルーしてしまったくらいです。普通の建屋で古い工場のような外観です。
気がつかないのである意味セキュリティー対策になっている…
わけないですが、すべてがこのようなデータセンター
というわけではありません。探せば自社にとっての許容範囲である
データセンターはあリます。後は…自社努力でどうになります…
イヤしなければいけません。

日本と同等のファシリティを希望しない弊社としては「安定」と
「セキュリティー対策」を最重要視しております。
電源はもちろんネットワークが最も重要です。
いくら建屋の外見がキレイでもネットワークが遅くて不安定では
データセンターを利用する意味がありません。

それから見落としがちなのが人の対応も重要です。
運用開始後にデータセンターへ出向く必要がある場合、
時にはトラブルで切羽詰まった状況下で入館手申請することが
あるかと思います。その際、日本の某データセンターのように
申請で1文字間違えただけで入館拒否されたり機器を搬入出来ないようでは
復旧が遅れて大変困ります。安定したサービスの提供が目的なのに
本末転倒です。

セキュリティーも重要ですが…そもそもセキュリティー対策が
十分でもあっても政府機関にハードウェアを没収されたら意味が
ありません。弊社としてセキュリティーは最重要です。
弊社の場合、プライベートクラウドで運用しておりますので
ハードウェアを没収されてもデーターが見えないような
仕組みになっております。重要なデーターは別のデータセンターへ
レプリカしております。これ基本です。

数カ所見学して最終的に今とほぼ同じようなレベルのデータセンターへの
移転を決めました。次に一番大変なサービス内容と金額の交渉です。
私はただワガママを言うだけしか出来ないので…ここは中国人スタッフに
ガンバってもらいます。

次回は中国の「データセンター引っ越し(後編)」をお届けします。


■ あとがき

日系企業のデータセンターは最高です…しかし高い。
でもお客様自身が利用するのであれば日系企業のデータセンターを
強くおすすめします。